たつみや章の『夜の神話』は1993年に書かれた児童書でファンタジィだけれど、原子力という人間が作り出した「青い火」をまだ安全につこいかなせていないとうい警告をこの時、すでに発している。
神話という表題だけあってツクヨミの神様や家霊がでできてとっつきやすい。
ともすると人は「暗鬼」になりやすい。
だれもがサトリまんじゅうをもらえれば、もっと住みやすかろう。
そういえば、 高村薫は「青い火」ではなく「神の火」と
呼んだな。
『望み』はぐいぐい引き込まれ一気読みしそうな勢いで読み終わった。
自分の息子が行方不明となり、犯罪にまきこまれ、それが被害者なのか、犯罪者なのか。息子の生死を案じる中で、揺れ動く家族の心理。
母親の犯人であっても生きていてほしいという望みは究極の愛なのかどうか、その場に立たないと共感できないようにも思ったが、
あの子が加害者だったとしたら、生きていたと分かった瞬間だけは安堵したかもしれません、でもそれからまた苦しい日々がやってきて、それに押しつぶされただろうと思います
この言葉は真摯な母の気持ちだろう。
悲惨な事件が起これば、被害者であれ、加害者であれ、周りの人たち全部が不幸であり、それを一生背負っていかねばならない。辛く悲しいことである。
無念であっただろうに。