徒然3行かもしれない日記

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漂う寂寥感

心淋し川 (集英社文芸単行本)

『心淋し川』西條奈加

江戸のどぶ川の片隅の長屋に住まう人たちの生きる姿を描く。

忘れたくても、忘れ得ぬ思いが、人にはある。

悲嘆も無念も悔恨も時のふるいにかけられて、ただひとつの物思いだけが残される。

虚に等しく、死に近いものーーーーその名を寂寥という。

寂寥感漂う心に沁みうる物語。

「歳月とは人の一生だ。誰のどの生にも光と陰があり、時は瞬く間に過ぎていく・・・・」