徒然3行かもしれない日記

日々のこと、身体のこと、本のこと。気になることがあればコメントしてみてください。

一冊の本

 

雪夢往来

『雪夢往来』木内昇

北越雪譜』の作者鈴木牧之の出版に懸ける一途な熱い思いを描く。

べらぼうの蔦重も登場して面白かったが、出版までに40年にもかかる長さに読むほうが少し挫折をしてしまう。

本を書くということも大変の労力がいることだが、ましてや一冊の本が世に送り出されるまでの大変さを思う。

美しき物語

 

月の立つ林で

『月の立つ林で』山美智子

月をこよなく愛でる人の心優しい物語。

大事な人の届ける心を夜空の月の輝きに込めて綴られる。

タケトリ・オキナの優しいつぶやきがツキヨミノミコトを想像する。

5つの章がまあるく月のようにつながって美しく癒される物語になっている。

見えない新月に目をこらし新たなことを始めたいと思う。

タケトリ・オキナは祐樹だと思ってだが、息子だとは。

 

首取物語

首取物語 (徳間文庫)

『首取物語』西條奈加

記憶がない独りぼっちのトサと同じく記憶がない首だけの侍オビトが出会う。

二人がいろんな国を旅して記憶を取り戻し二人の因縁にきずかされる。

怖く、哀しい事実。互いに自分の過ちを認め許しの心を持つ。

人の欲には三つの段がある。まず我があり、ついで身内や郷のため、ここまではいわばあたりまえの欲であり、尊いとされるのはさらに上に高じた欲だ。

すなわち他者のため (略 )  弱気き者に手を差し伸べる。

(略)

他者を慮る欲こそが最上に値する。

二人とも死後の国を旅しているのだがそれぞれ不思議で味わい深い国だ。

人の心の奥深さ、それぞれが持つ立場による義の違い。

首取物語の世界に引き込まれた。

 

ゆるゆると

 

漢方小説 (集英社文庫)

『漢方小説』中島たい子

自分の体の不調を現代医学ではなく漢方、中医学で治していこうとする主人公の奮闘を描く。

専門書まで読み漢方を知ろうとする。

薬草の力を借りて本治をめざす。

漢方でゆるゆると体を治していくイメージがあるが患者自身に寄り添い優しい。

主人公を取り巻く人たちも突出していて楽しいと言えば語弊があるが面白い物語。

深刻な話も明るく書ける作者。

理不尽、不可解、正義

みちくさ道中 (集英社文庫)

『みちくさ道中』木内昇

おもしろく読ませもらった。

「世の中の成分」で

世の中は5割の理不尽と4割の不可解と1割の正義でなりたっている。

まっことそうだと思ったが

自分が努力していくにつれ正義の割合がふえるという。

まだまだ自分には足りないものが多いと判明。