徒然3行かもしれない日記

日々のこと、身体のこと、本のこと。気になることがあればコメントしてみてください。

塗物語

[新版]ジャパン・ディグニティ

『ジャパン・ディグニティ』高森美由紀

伝統工芸である津軽塗の職人を親に持つ娘の成長物語。内向的な娘はアルバイトをしながら稼業を手伝う。不向きなアルバイトをやめ真剣に津軽塗に取り組むようになる。

塗一筋の職人肌の父、親の離婚、弟のジェンダーなどの話も明るく描かれている。

隣のばっちやもいい味だしている。

楽しく暖かい家族の塗物語。

ダ・ツ・エヴァ

 

三途の川で落しもの (幻冬舎文庫)

『三途の川で落としもの』西條奈加

川から落ちて意識を失った小学6年生の主人公は三途の川で自分がなぜこうなったのかを三途の川の渡し守の手伝いをしながら解き明かす。

奪衣婆がカタカナで表現するとダ・ツ・エヴァとなりしゃれた人となりになるのが面白い。三途の川でもダブレットを使用するなど楽しく読ませる。

楽しいだけでなく人の弱さも考えさせられる。

 

人は人で救われる

月のうらがわ

『月のうらがわ』麻宮好

月のうらがわには死者がいる。

大事な人を亡くすと月のうらがわに足を踏みだしてしまう。

「人は人と関わり合って、何かを渡したり、受け取ったりする。」

それがたとえ季節のあいさつだらうが、ちょっとした言葉がけでも・・・生きる力になる。

母親をなくした主人公は、人のうわさにとらわれず、母の教えである、自分の目で見てきちんと判断する。

人は人によって救われるということを描いた美しい物語。

「大丈夫だよ。あんたは真っすぐに生きている。つらいことがあったって、ちゃんと生きてりゃ、神様が禍福の帳尻を合わせてくれる。福のほうが少しだけ多くなるようにね。」

読んだ本

うずら大名

うずら大名』畠中恵

若い頃、道場で知り合った何者でもない二人が隠居大名と豪農として出会い事件を解決していく。颯爽とした隠居大名と大人になっても泣き虫である豪農との取り合わせと袋うずらの活躍が面白い。うずらってこの時代こうして連れ歩くんだ。

山ぎは少し明かりて

『山ぎわ少し明かりて』辻堂ゆめ

ダムの底に沈んだ村を最後まで愛し守ろうとした女性とその娘と子の物語。

故郷とは・・・・大事なものとは・・・・

行きつ戻りつ死ぬまで思案中

『生きつ戻りつ死ぬまで思案中』垣谷美雨

私自身もまさに死ぬまで思案中だわ。

 

 

 

 

桃山絵巻

風神雷神 Juppiter,Aeolus(上) (PHP文芸文庫)

 

風神雷神 Juppiter,Aeolus(ユピテル アイオロス)下 (PHP文芸文庫)

風神雷神』上・下 原田ハマ

絵を描くということに魅せられたふたり、俵屋宗達とカラヴァッジョが出会う。

宗達天正少年訪欧使節団の一員、絵師として派遣されローマ法王に謁見。

壮大な桃山絵巻のような物語。面白い。

 

富山売薬薩摩組

富山売薬薩摩組

『富山売薬薩摩組』植松三十里

富山の薬売りと薩摩藩との繋がり。

薩摩藩に売薬に行く富山の薩摩組が北前船に乗り込み昆布を仕入れる。壮大な物語を面白く読んだ。薬売りの矜持と藩の財政を扱う家老。新しい世の中を夢見て突き進む。

人はだれでも死ぬ。でも自分の死さえも、人のために生かす者がいる。

なんと美しい死に様だろう。

活き活きと主人公たちが描かれており引き込まれる。