2019-12-16 明るい介護 本のこと 『長いお別れ』は、老々介護をつずったものなのに、明るい筆致で描かれている。 アルツハイマーの夫を自宅で最後までみとる夫思いの妻の姿は素晴らしい。 認知症を発症した時点から、自分自身や家族との別れが始まっている。
2019-12-12 正義の番人 本のこと 『検事の信義』は正義を守り、「罪はまっとうに裁かなければならない」という、強い意志をもった、ぶれない検事の物語 自分が正しいと思うことをやりとげる、実直で強い検事の姿は凛としてかっこいい。
2019-12-10 五重塔と天樹 本のこと 壮大な小説だった、『金剛の塔』。 美しく、そして地震にも負けない素晴らしい技術の粋を集めた五重塔。 百済から渡ってきた宮大工が伝えた技術。それを、現代へと伝えていく宮大工の物語。 五重塔の工法とスカイスリーの工法が似ているなんて、すごいことだ。 巧の技の素晴らしさ、人間の叡智の素晴らしさを描いた物語。 スカイツリーの響きもいいけれど、天樹という言い方も美しい名前だな。 聖徳太子とスカイツリーのストラップが話をひっぱっていく構成も面白かった。
2019-12-06 変わった家族 親子 本のこと 『傑作はまだ』は瀬尾まいこの新作。 いっぷう、変わった家族の形を描くことが多い作家のような気がする。 本作もそうだ。養育費を振りこむだけで、25年もあったことのない息子がやってきてしばらく、一緒に暮らすことから物語は動き始める。 息子が父親のことを「おっさん」と呼ぶ。 この呼び方がなぜが暖かく感じる。 息子を育てた母親が素晴らしい。
2019-11-27 ワイン造りに懸けた青春 本のこと 『ワインガールズ』は、松山三四六が初めて書いた小説。 ラジオのパーソナリテイとして熱く語っているのを知っていた。 その語りのまんまの出だしで、読みにくかったが、だんだんとそれに慣れてきたのか、塩尻の歴史や戦時中のワインのひみつなど興味深かった。 ヤングアダルトにはもってこいの作品。