『月のうらがわ』麻宮好
月のうらがわには死者がいる。
大事な人を亡くすと月のうらがわに足を踏みだしてしまう。
「人は人と関わり合って、何かを渡したり、受け取ったりする。」
それがたとえ季節のあいさつだらうが、ちょっとした言葉がけでも・・・生きる力になる。
母親をなくした主人公は、人のうわさにとらわれず、母の教えである、自分の目で見てきちんと判断する。
人は人によって救われるということを描いた美しい物語。
「大丈夫だよ。あんたは真っすぐに生きている。つらいことがあったって、ちゃんと生きてりゃ、神様が禍福の帳尻を合わせてくれる。福のほうが少しだけ多くなるようにね。」