『夜を乗り越える』を読んで又吉さんが、ピースの前に「線香花火」とうい漫才コンビだったということを知りました。淡くて優しく一瞬の輝きの線香花火。
それが『火花』によってスターマインの打ち上げ花火になり、一貫しているんだなあと思いました。次はどんな花火を打ち上げてくれるのだろう。本を武器にして。
読んで、読んで語って書く。言葉を紡ぐ職人となって。
「なにもないことを武器にできる」という逆転の発想。それを強みにつらい夜や独りの夜を、ともかく乗り越え明日へつなげていく。
『あずかりやさん』を読んだ。
とても静かで染み入るような小説だった。
主人公は、目がみえなくなった男性で、あずかりやを真摯に営む。これで生活していけるのか?と思うが、誠実に生きれいれば人生はなんとかなる。とおもわせるような・・・・・。
語り手ものれんや自転車であったり、面白い構成だった。
主人公は何にも語らないのだけれど。
社長と名づけられたねこが「世界は音と匂いだけになった」という気持ちにドキンとした。
失明するとは、そういうことなのだとしみじみ思った。
『あほろくの川だいこ』は美濃の昔話である。
あほろくが目が見えなくなったため、村人たちに、大雨の時に川の水かさを知らせるために太鼓をたたく役をさせられる。
あほろくも真摯に自分の仕事をし、何度も村人たちを助ける。でも、何度めかの大雨の時、川が氾濫し荒れ狂う川に呑み込まれてしまう。それでも太鼓をたたくことをやめずに・・・
このあほろくは、けっしておあほろくではなく、だれよりもるっぱで偉い「ろく」なのである。眼の見えない人に最も危険な仕事を与える人間のエゴイズム・・・・
あわれな「ろく」かわいそううな「ろく」・・・
立て続けに眼が見えなくなってしまった主人公の話を読んでしまった。
そのあと『耳なし芳一』にいってしまった。
<いつまでも どう生きればと 雪の夜>