徒然3行かもしれない日記

日々のこと、身体のこと、本のこと。気になることがあればコメントしてみてください。

ひとりの修羅なのだ

かなしみはちからに 心にしみる宮沢賢治のことば

『かなしみはちからに 心にしみる宮沢賢治のことば』斎藤孝

まことの幸い、みんなの幸いを一途に思っていた宮沢賢治

美しいことば、強いことばの数々が集められている。

表題は書簡から取られた。

かなしみはちからに、

欲はいつくしみに、

いかりは智慧にみちびかるべし。 

 

 

いかりのにがさまた青さ

四月の基層のひかりの底を

唾し はぎしりする

おれはひとりの修羅なのだ

 「春と修羅」は難しく、賢治の苦悩なのか・・・・・

海うそ

海うそ

『海うそ』梨木香歩

丹念に、丹念にフイルドワークで訪れた遅島の様子が綴られた前半。

そしてその五十年後。

架空の島なのに、ノンフィクションのような作者の想像力の豊かさに圧倒される。

深い喪失感を抱きながら島を訪ねた主人公。その喪失感は五十年後、変わらぬ「海うそ」(蜃気楼)と再開発で変化を遂げた島の姿をみながら

喪失とは私の中に降り積もる時間が増えていくことなのだ

と認識する。

「海うそ」という表題にもひかれる。でも読後は表題は「うそ越え」でもいいかも。 

 周り道をすることが人生なのかもな。

アンマーとぼくら

アンマーとぼくら

『アンマーとぼくら』有川浩

久しぶりに有川浩読んだ。

義母と亡き父の思い出をたどる三日間の旅。

美しい沖縄の海と空。義母の優しさと父子に捧げる愛情。

綺麗な物語だった。

リョウが竜馬だったとは・・・・

父親像も坂本竜馬をイメージしてつくられたのだろうか。

終盤、リョウが亡くなっているのかとも想像したがそれではあまりにも義母の晴子さんが痛まし過ぎるし。

 

慧眼

慧眼(けいがん)

『慧眼』本城雅人

プロ野球のスカウトたちの駆け引きを描いた6作からなる連作短編集。

主人公、堂神の慧眼ぶり。まさに名は体を表す。

おまえの人生だからおまえがやるしかない 

 そういうふうに、主人公も生きてきたんだな。

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

『水やりはいつも深夜だけど』窪美澄

普通の家族の問題を描く短編集。

人との距離間を考えさせられる。

火災調査官

火災調査官 (創元推理文庫)

『火災調査官』福田和代

火に魅せられ、火災調査官となった東が連続火災の犯人を追う。

火災の現場には、ダ・ヴィンチの模写絵と百人一首の歌。

面白くてページをめくる手が止まらない。

所詮、人間の理解なんて、そんなもの。

自分が見たいと思うものしか見ないし、聞きたいものしか聞かないものだ。

 

枇杷の木がある家

 

うつくしが丘の不幸の家

『うつくしが丘の不幸の家』町田そのこ

同じ家に住んだ5つの家族の物語。

それぞれの家族が夢や幸せをつかむため家を求める。

最初に住んだ住人が植えた枇杷の木。そして枇杷の木が成長した後に移り住んだ家族。

しあわせは人から貰ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。

自分で 作り上げたものを壊すのも汚ですのも自分にしかできないの

と隣家の 老女が言う。幸せは自分で作っていくべきものだとは思うがなかなか幸せにはなれないな。とはいえ不幸ともいえなけれど。

1本の枇杷の木の種明かし。なかなかのものだ。みごとな構成だった。

枇杷の葉っぱでお茶がつくれるとは初めて知りました。

かねがね枇杷は種が大きいとおもっていたが、枇杷焼酎が作れ体にいいとはびっくり。

毎年実家から枇杷をもらうので今年は漬けてみようかな。