『料理通異聞』松井今朝子
料亭八百膳の善四郎の生涯を描く。美味しいものをつくることに邁進した人生。
そのうえ、持って生まれた親切心。
踏み込んで親切を施すにはそれなりの勇気と度胸がいるそ。れは持とうとして持てるものではない。天性の勇気と度胸が備わってこそ・・・・・
そういう気質をもった江戸の料理人。
美味しい物語。
蔬菜も野辺の名もなき草も、名だたる人の人生も、生じては繁り、やがて枯れゆくことにかわりはない。人はだれしもどこからかこの世に生れ来てまたそこへ変えって行くのであろう。
帰根という言葉が心にに残った。
万物は等しく花が咲き実がなって、ついには枯れて果ててしまうようだが、それは各々がまた根に帰って復することなのだ。